あの子のために雪は降る
「分かりました。直ぐに使われるんですね?付けヒゲもございますが…。」


あ゛!?ヒゲ!?


「あ…ああ、それも付けてくれ!」


そういやそんなもんもあったな。
確かにヒゲつけねーと俺だってバレるじゃねえか!
俺は自分の間抜けさに舌打ちすると、会計を終えた衣装を持って店を出た。


これで全部揃った!
…外はいつしか暗くなり、思った以上に時間がかかった事を示していた。


「クソッ!何もたもたしてんだ俺は!」


俺は冷えた汗に体をブルッと震わせると、気温が下がって白くなった息を手に吐きかけた。


すずめの奴…どうなっただろう…。

苦しそうに息をしていたアイツの顔を思い出して、俺はチラリと浮かんだ最悪の結末を頭をブンブン振って払いのけた。

そんなわきゃねーだろ!
アイツはまだまだ楽しい思いをしなきゃならねえ!
こんな所で終わってたまるか!


立ち止まるとマイナスな事ばかり考えそうで、俺は何も考えないようにした。


「待ってろよすずめ!サンタは絶対来るからよ!」


俺はそう呟くと病院へと急いだ。
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