あの子のために雪は降る
すずめはぼんやりとした目で見ていたが、一瞬だけ微笑んでくれた。


「いつもいい子にしてるすずめちゃんにはこれをあげよう!」


俺はそう言ってポケットに入れていた遊園地のチケットをかざした。


「遊園地のチケットだよ!
すずめちゃん、早く元気になっていっぱい遊んでおいで!
一緒に行きたい人が居るだろうから二枚あげるね。」


俺はすずめがわずかに頷くのを見て、小さな手にチケットを握らせてやった。

すずめはきっと喜んでくれただろう。
額には苦しそうに汗をかいているが、目だけは安らかに笑っている。


俺もニコニコと笑いながらその様子を見ていると、すずめが少しだけ話し始めた。


「…おっちょこちょいな…サンタ…さん。」


「ん?…どうしてだい?」


俺は顔を近づけて耳を澄ませた。


「プレゼント…明日だよ…お兄ちゃん。」


すずめはそれだけ言うのが限界だった。

急に息を荒げ始めると、苦しそうに顔を歪めた!


「お…おい!すずめ!しっかりしろ!!すずめ!」
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