あの子のために雪は降る
アイツとの出会いは単なる偶然、俺が気まぐれに助けてやっただけ…興味もなけりゃ感謝も要らねえ。

一緒にいたのはたったの2日…別にずっと共に暮らしてたわけでもねえ。

背丈なんか俺の腰までしかないチビ助…。


…でも俺の一生の中で一番デカい存在になった。


アイツともう一度飯が食いたい。


アイツともう一度遊びに行きたい。


ぬいぐるみを抱いたアイツの笑顔がもう一度見たい。


…そんなの今更叶わない望みだって解ってる。


でもアイツの事は忘れたくないんだ。


毎年、毎年、クリスマスはやって来る。


数年経った今でも、俺はその度にアイツの事を考える。


もっと早く、別の方法で会いたかったな…。


俺はアイツと出会った路地裏に立って、凍える手に息を吐きかけた。


空からは静かに雪が舞い降りる。


空を見上げた俺は、目を閉じて雪の冷たさを感じていた。


雪達よ…もっと沢山降りて来い。


アイツが寂しくないように…アイツを包んでやってくれ…。


俺は自分の頬に雪の滴とは別に、熱い涙が流れるのを感じた。


「いつになるかわかんねーけど、お兄ちゃんがお医者様になってすずめと同じ病気で苦しむ子を必ず救ってやる。
…だからそれまで見ててくれよ…メリークリスマス…すずめ。」



〜fin〜
< 46 / 47 >

この作品をシェア

pagetop