あの子のために雪は降る
「そんな事ぁどーでもいいだろ。次はお前の番だぜ?来いよ!」


俺は挑発的な笑みを浮かべて肩をぐるぐる回した。


「テメーとやっても得しねえ…今日は引かせてもらうぜ!覚えてろ健司!」


ソイツはそう叫ぶと、仲間を見捨てて走り去った。
2人もネンネしてちゃ運べないと悟ったんだろう。まぁ、見捨てて逃げるのが利口だな。

俺は不完全燃焼の自分に舌打ちすると、たまたま助ける結果になったガキの顔を見た。


捨て猫みたいにフルフルと震えている。
…ソイツは女だった。

えらく細っこい体に、セミロングのサラサラな髪の毛…真冬の今にしてはかなりの薄着をしている。
大事そうに抱えたぬいぐるみが、チラリと腕の間から見えた。


俺はガキに声をかけるほど優しくはない。
こいつが何をしてようが関係無いからだ。

そんな理由で、俺はフンッと鼻を鳴らしてガキの横を通り過ぎた。

ビクビクされるのは慣れてる。俺みたいな奴とは関わらない方がいいのさ。
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