過去の秘箱


   寝たよね?


沙織はテーブルに置かれたテレビのリモコンを持ち、電源を消した。


どうか朝まで、そのまま目覚めないで……。


深い深い眠りから、お父さんを朝まで帰って来させないで、神様、お願い……。


その為なら、お酒なんていくら飲んだって構わないから……。


おかず代切りつめてでも酒代にまわすから……。


神に祈る思いで、沙織は子供部屋に戻り、机のライトを消し、二段ベッドの下段にそっと滑り込んだ。


静かな闇夜が来たよ。


それは…1日の中で、沙織の一番嫌な時間だった。




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