過去の秘箱


それから後…何事もなく日々が過ぎていったが…一つだけ変わった事が……沙織は殆んど話さなくなった。


父親とは勿論…詩織とも最低限必要な事以外…沙織の口から言葉は出なくなってしまった。


そして一切笑わなくなった…笑い方が分からない、テレビでお笑い番組やっていようが、何も面白くない。


彼には、たまに電話をかけていた、唯一、沙織が心から話せる相手……それは公衆電話からだったり、誰もいない時は家からだったりして……。


ケータイが欲しい……でも言える訳もなく、また持ったとしても、これから父親が管理するだろう……。


それよりも……父親にお願いするなんて…借りをつくるようで…沙織にとっては死ぬより嫌な事だった。



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