過去の秘箱


湯船に二つの体……詩織は、学校での出来事を次から次へと話し出した。


この頃全然喋っていなかったせいか……詩織は溜まっていた言葉をどっと吐き出す。


詩織も淋しいのよね……まだ小学生だもんね。


いきなり母親がいなくなり…この子には何の罪もない。


何も知らない、あどけない詩織の表情が……私の胸を苦しめる。


もう少し…もう少しだけでも、お父さんに似ていなかったら良かったのに……考えたところで、もうどうしようもない事を…私は考えた。


それから後、詩織はよく私と一緒にお風呂に入りたがった、裸でお喋りする姉妹の時間だった。



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