過去の秘箱


私は冷静に無言で体を、髪を洗っていく…早くそこから出たかった。


お父さんが……鼻歌を歌いながら詩織とじゃれ合っている……でも…視線はこっちに来てる。


見てるよ、私の体を………。


嫌だ…気持ち悪いよ……でも…そこには詩織もいる、板前と同じ顔をした妹が……。


私は急いでシャワーかけ、逃げるように飛び出た。


お風呂から聞こえてくる、お父さんと詩織のエコーの効いた会話。


アハハハ~キャア~
 お父さんやめてよ~


そこにいる二人は本当の親子……。


お風呂場と脱衣場……ドアが2対1に世界を分ける。


私だけがのけ者、仲間はずれ……誰か…誰か助けて下さい。



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