過去の秘箱


その日の深夜……詩織が寝静まった頃……。


父は来た…私の部屋に…久しぶりだった、あのケータイ事件以来の訪問。


こうなる事は予想していた、お風呂場に入って来た時点で…私は覚悟していた。


ベッドの中で本を読んでいた私……恋愛小説が私の手からするりと落ちた。


重い大きな体が乗ってきた……さっき洗ったばかりの体を汚しに………。


両目尻から伝う涙の筋………。


  会いたいよ…。


中谷君に会いたい…。


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