過去の秘箱


恵子叔母ちゃんは、じっと考えた。


「沙織、叔母ちゃんの所に来るかい?一緒に暮らして、知り合いの所、仕事先見つけてあげるからさ」


「……そんな事出来ないよ、新幹線で1時間もかかる所に住んだら……詩織が淋しがるし、それにご飯やお弁当、誰が作るの?
まだ詩織が……何も出来ないから直ぐには出て行けないよ。
叔母ちゃん、気持ちは嬉しいんだけど……今は出来ない、詩織がいるから…… 」


「そんな事言ってて……これからどんどん年頃になってくるのに、正男さんの側なんて危なっかし過ぎるよ。
それでなくても…あの人の女好きと言うか…変態的なとこ持ってる人だからね。
あんた達は何も知らないけど、それで典子もずいぶん苦労してたよ。まだ、あんた達が子供の頃さ、ワイセツ行為で、何度か訴えられそうになった事があってね……」


お父さん……って、やっぱりそうゆう人だったんだ……意味がわかったよ。




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