過去の秘箱
この叔母ちゃんの話し…このチャンスを逃したら…夢がずっと先に延びてしまいそうで……私は悩んだ。
困った、困ったよ、どうしようか……。
叔母ちゃんは再三電話をかけてきて、私を説得した。
私の気持ちは……このまたとないチャンスに、しだいに傾いていった。
でも……お父さんには凄く言いにくい、きっと反対されるに違いないし……詩織にも言えないよ、多分……大泣きされると思う。
電話から叔母ちゃんが言った。
「詩織は、正男さんの本当の娘だから、何とかなるわよ。
でも、あんたが二人の犠牲になって我慢していく事ないから。
どうせいつか家を出たいなら、早く出た方がいいよ。
取り返しつかない事になってしまう前に…」
取り返しなんか、もうつかない事になっているよ、ずっと前から、叔母ちゃん………。