過去の秘箱
16 姉妹の別れ
やがて年が明け、中3の3学期がきた。
料理のレシピや、掃除、洗濯の仕方などをまとめたノートを、詩織に渡そうと私は作っていた。
お弁当は、住むアパートが中学校の近くだったので、毎朝取りにおいでねと言っておいた。
お父さんの弁当は?
それは…もう知らない。
やっと私は解放されるんだ……あの人から、あの体から……。
この体……お父さんのおもちゃ……から逃げ出せる時が…やって来た。
詩織…ごめんね、あんたを捨てる訳じゃないのよ。
お父さんが、二人の……私にとっても本当のお父さんだったら……ううん違う……体求めてくる事さえなかったら……私、この家は出て行かなかったよ……。
詩織の世話だって、お父さんの世話だって、……別にたいして苦痛じゃなかった……。
でもね詩織……お姉ちゃんだって、自分を生きたいんだ……。
許してね、詩織……。