過去の秘箱


その日の帰り……彼の唇が、沙織の唇にそっと重なった。


涙池の氷は、一瞬にしてパキッと割れ、解けてゆきました。


彼が春を連れてやって来た……錦鯉は泳ぎ始めました。


スイスイスイスイスイと、池の中を廻り、本当に気持ち良さそう、思い余って飛びはね水音を立てます。


 好きよ、中谷君……。


この物語は……まだまだこれから……悲箱の中身が増えていくよ………。



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