過去の秘箱


何で?怒らないの?


何で?寝た振りしてんの?


何で?大きな声出して、はね除けりゃいいじゃん!


父親は、右手で沙織の胸をパジャマの上から触り、左手で自身をこすり始めた。


父親に沙織の顔は見えない。


それは苦痛に耐え難い、歪んだ寝顔。


沙織の閉じられた両瞼の真ん中に、深い縦じわが入っている事など、父親は見えない、知らない。


見えたとしても、途中で止めるどころか、余計にこの男を興奮させてしまうだろう。





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