過去の秘箱


詩織が…天敵を見るような視線を私に送りながら、言った。


「今更…何の用なのよ?」


「お父さんが心配しているわ、家に帰らないと駄目じゃない」


「あんな陰気な家に帰れっかよ!あんたね、人を捨てときやがって、今更余計なお節介すんなよ!わずらわしいな! 」


「詩織…お姉ちゃんはあんたを捨てた訳じゃない、捨てたなんて思ってない!……お願いだから、お父さんやお姉ちゃんに心配かけないで、もっと自分を大事にして!ちゃんと家に帰って、学校も行かなきゃ……」


「っるせぇなぁ~」


何?詩織の口から変な匂い?


何か塗料のような…これって、シンナー?


   詩織………。




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