過去の秘箱
忘れていたのに……また思いだしたよ……私を汚す汚染物質…それはヘドロ。
マー君が…マー君が綺麗に汚れを取り除いてくれて……もう忘れかけていたのに……。
気持ち悪い過去が鮮明に甦る。
動けなかった。
声さえだせなかった。
恐かった。
痛かった。
辛かった。
ヘドロに顔があるとしたら、それはあの義理の父。
下田正男……正しい男と書いて、正男。
でも、とても哀しい事に……私の愛する可愛い詩織も、あのヘドロの顔面によく似ているの……。
私は、遺伝子を憎みたい。
涙が幾らでも零れてきて……目の前が曇って見えないよ。