過去の秘箱
沙織は、心の底からマー君を愛していた。
マー君は…………。
愛と性欲が半分半分、これは誰も責める事など出来ない、若い男の哀しい性。
一週間に4、5回…二人はこのちっちゃな箱の中で愛し合った。
部活終えたマー君が電車でやって来て、沙織は自転車で駅まで迎えに行く、そして二人乗りで向かう先は……カビ臭い部屋……。
ホテル代も馬鹿にならなかった。
週に1万円以上はかかる。
この恋の経費……沙織が全額負担していた。
工場の給料だけでは、かなりきつい出費だった。
でもそれでもよかった、ご飯何か食べなくても、どんなに切り詰めてでも、沙織はマー君に会いたかったから………。