過去の秘箱
沙織は、仕事帰りに本屋に寄った。
妊娠に関する本をパラパラめくってみると、そこには何ヵ月、何週目の胎児の写真が生々しくて……現実に押し潰されそうになる。
誰か助けて……。
この現実に答えを……誰か下さい。
どう考えても…堕胎…する以外、方法はなかった。
マー君とお父さんには内緒で中絶しよう。
中絶費用……10万足らず……どうしよう、そんなお金何処にもないよ。
高校生のマー君には、死んでも言えない、そんなお金、用意出来る筈もないし、それに困らせ、もう二度と会ってくれなくなったら、私……生きてゆけないから……。