過去の秘箱
28 脱皮
二日間意識不明だった沙織が目を開けると……そこには、叔母ちゃんと詩織の顔があった。
「お姉ちゃん…」
「沙織……気付いたのかい……」
叔母ちゃんと詩織は声を出して泣いた。
右手には点滴が刺さっていて、左手を見たら……白いサポーターが……。
私は死ねなかった。
今……生きてる。
「沙織……何も言わなくていいよ。自分で言いたくなる時がくるまで、誰も何も聞かないよ。
妊娠してたんだね。
その子は……お腹の中で死んだよ。
色々辛い事があったんだね。
可哀想に……」
点滴刺さった右手の指先を、叔母ちゃんはギュッと握った。