過去の秘箱


2学期になり、妹、詩織の自然学校に行く日が迫ってきた。


日程は5日……重苦しい空気の中、詩織は元気なく…それでもカバンに荷物を詰め準備していた。


本当なら一番ウキウキする時なのに……気乗りしない詩織の側に沙織が来た。


「詩織…楽しんでおいでよ、ねっ、その間だけでも、母さんの事…家の事も忘れてさ……ねっ」


と、沙織は準備を一緒に手伝った。


妹の留守の間…この5日に…下田家の運命が…沙織の人生が…大きく変わっていく事…誰も知らない。


詩織は晴れ晴れしくない鈍い足取りで、自然学校に行った。



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