過去の秘箱


窓から暖かな太陽の恵みを受け…ベッドの上で、私の心は安らかだった。


横では、椅子に座った詩織がテレビを見ていた。


叔母ちゃんは、花瓶のお水を替えに病室から出て行った時の事……。


その時、勢いよくドアが開いた。


一瞬に…私の心は萎縮した、心臓を鷲掴みにされ、ちぎられるような思い……。


下田正男……。



「沙織、大丈夫か?
ほらっ!」


と、つかつかと部屋に入るなり、銀行の封筒を布団の上に落とした。


これは何?


詩織は首を傾げていた。


「あのクソガキの親からむしり取ってきてやったよ!
人の娘、腹ましやがってよ!
50万だ~ったく……ぶっ殺してやろうかと思ったよ!」



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