過去の秘箱
高級そうに思えるしゃぶしゃぶ屋さんに入った。
そこは個室の座敷になっていた。
話しって、話しって何?嫌な事聞かされるのかな?
ここ最近幸せ過ぎたから、多分……次に来るのは悪い事なのかも知れない。
不安気な私の向かいにいる叔母ちゃんが、鍋を挟み、口を開いた。
「沙織、お母さんの事……恨んでるかい?」
「………」
ゴマだれに肉をつけて口に運ぼうとした時、私の動きは止まった。
叔母ちゃんが……何を言おうとしているのか全然読めない。
「居場所がわかったら会いたいと思うかい?」
「わからない……そんな事…もう今では考えた事もなかったから……」