過去の秘箱
沙織は、義理の父である正男と二人きりになった。
典子が消え、まだ2ヶ月足らずの時……。
これから起こるであろうシナリオなど、沙織は目にもしていなかった。
いつも通り、正男はテレビを見ながら晩酌していた。
沙織が風呂から出て来た時、正男が言った。
「沙織…お前…本当に母さんの行方知らないんだな?」
「知る訳ないじゃん」
「恵子の叔母と、いつも電話で話してんだろ?本当は何か知ってんじゃないのか?」
「何言ってんのよ、あんな人…居る所分かったって、もう二度と会いたくないから…」
その時、テレビでは外国映画がやっていた。
たまたま、濃厚なベッドシーンが映る。
沈黙になり、変な空気が二人を包んだ瞬間………。