過去の秘箱
沙織の頭の中は困惑したままに、尚、叔母ちゃんの話しは続いた。
「正男さんに見つかった典子は…何されるか分からないと思い、逃げる結果にはなってしまったけれど……沙織だけでも連れて行きたかったみたいだ。
でも……詩織は正男さんの子だろ?
沙織と詩織…姉妹を引き離す事も出来ずに……。
典子も色々苦しんだよ。
一年前から連絡取り合っててさ、お前と詩織に何かあれば、力になってほしいって……。
お金振り込んできてね……毎月少しずつ残してきたお金らしい、ここに3百万あるよ。
詩織と相談して分けたらいいよ」
と叔母ちゃんは、通帳と印鑑をテーブルに置いた。
「沙織が会いたいなら会っていいんだよ。
会いたくないなら、無理は言わない…典子には…どうこうしたいなんて言える権利はないからね…… 」