過去の秘箱
自社を倒産させた浩二(実父) は、職を転々と変えた後、現在は、ある車の整備会社に落ち着いていた。
そこは浩二の親友の会社で、典子と共に、そこでひっそりと働き生計をたてていた。
叔母から、一部始終の過去を聞かされた沙織が答える。
「叔母ちゃん……私…まだ自分の気持ち、整理しきれなくて……暫く考えさせてほしい……」
「そうだね、驚いたろ?あんたの立場になったら複雑だものね」
「詩織の事もあるし……私だけが一人でこそこそ、お母さんに会うなんて出来ないよ……」