過去の秘箱
「ヒック、ヒック……だって、お姉ちゃんは…お父さんの事嫌いでしょ?
それに、お姉ちゃんにとっては、本当のお父さんじゃないって、他人だって……前に叔母ちゃんが教えてくれたもん 」
「詩織……」
私の胸に…何本も何本も矢が刺さる、痛い…痛いよ。
「お姉ちゃん…だから、だから私ね、もう甘えちゃいけない、頼っちゃいけないって、一人で頑張ろうと思って…… 」
向かい合わせに座っていた私は、立ち上がり詩織の横に座った。
詩織を力一杯抱き締める。
可哀想に……一人で……こんなに痩せた身体で哀しみ背負ってたの……。
あんなに甘えただったのに……あんなに淋しがり屋だったのに……あんなに恐がりだったのに……。
「詩織の馬鹿…何で……早く言わなかったの…… 」
喫茶店の隅で……姉妹は泣いた。
「詩織……私達は姉妹なんだよ!私は…あんたの、たった一人の姉ちゃんなんだよ! 」
「うぅっ………」