過去の秘箱
31 詩織の思い


詩織に……母の居場所が分かった事を話した。


返事は即答……。


  会いたくない。


無理もないよね。


ワイセツ行為やら、下着盗んでた事や、知り合いの娘さん事件……そんな義理父の悪い事は、一切、詩織には言わなかったから……。


母が…母が一方的に悪いと、詩織は頑なに思っている。


それでいいよね、今更…義理父の真実を並べたところで……過去をほじくり返したところで……何も始まらない。


詩織を苦しめるだけの事。


詩織は義理父の事が大好きだし……それに二人は死ぬまで本当の親子なんだから。


叔母ちゃんから貰った母の貯金の3百万……半分づつしようと思ったけれど……これはお母さんからだよって……全額渡した。


要らないと言い切る詩織に、無理矢理置いて……取り敢えず、その日は駅で別れる事に………。


義理父と詩織の事が……私の心を灰色に染める。


このままで、いいのかな………。



< 209 / 221 >

この作品をシェア

pagetop