過去の秘箱
年老いて幼児に戻ったおじいちゃん、おばあちゃんや、若くして身体が不自由になった人が……皆、話し合ったり、テレビを見たり、遊戯をしたりしていた。
私は…義理父を、あの日の板前を探した。
いない……ヘドロの顔を持つあの日々の板前は……何処にもいない。
詩織の背中を追いかけると、車イスに座ったある一人の老人に寄って行った。
詩織が、その老人に声かけた。
「お父さん……お姉ちゃん来てくれたよ」
嘘……嘘でしょ……この人……そう言えばそうだ…顔が、顔が義理父に違いない。
でも…でも……。
髪は極端に白くなり、シワは増え…一回り身体小さくなった板前が……そこにいた。