過去の秘箱



「お父さん!な、な、何してるの?」


パジャマの下はパンツごと脱がされていた。


  「嫌ぁ~~」


体格のいい父から逃げる事は…至難の業だった。


「お父さん~やめてよ~」


暴れる私の顔を、父は大きな手で思い切り叩いた。


そして口をふさいだ。


痛い、痛いよ……。


恐かったし…痛かったし…重かったし……無駄な抵抗は諦めた。


父は何をしているの?


いつまで続くの?


痛過ぎるよ……。


沙織は我慢強い子…沙織は優しい子…。


まな板の上の鯉は……荒々しく料理され、綺麗な血を流しました。


夢か現実かわからない時間が過ぎ、やがて夜が明けた。




< 25 / 221 >

この作品をシェア

pagetop