過去の秘箱


沙織はいつも通り、家に帰り家事をこなしていく。


正男が帰って来た。


会話なく気まずい空気が漂う中、沙織の作った料理をアテに正男の晩酌が始まった。


沙織は子供部屋に入り、襖を閉めて、机に向かった。


13歳が考えた苦肉の策は……朝まで勉強しよう、ベッドに入るのはやめよう。


朝まで絶対に眠らないから……。


閉じてきそうになる目をこすり、沙織は睡魔と戦った。


隣の部屋では、テレビをつけたまま正男が寝てしまった。


そっとテレビを消して、また机に向かう沙織。


絶対寝ないから…。



< 32 / 221 >

この作品をシェア

pagetop