過去の秘箱
歩いていると、誰も住んでないような古びた空き家を見つけた。
朽ちた木の隙間から中に入れそうだった。
ここで明日になるまで過ごすしかない…。
極限の寂しさと哀しさと寒さに……怖さなんかは飛んでしまっていて何処にもなかった。
暗く冷たい廃家で、膝を抱える沙織。
ひびの入った窓ガラスから、白い粉雪が舞っているのが見える。
その周辺の家からか…聞こえてきた…家族団らんでクリスマスを楽しんでいるかの声が……凍りついた耳が尚更凍る。