過去の秘箱
私と詩織の気持ちは無視されて、引っ越しの話はどんどん進んでいった。
1月の終わり頃…中途半端な季節に、とうとう引っ越しは決定した。
せめて、もう少しだけでも…終業式までだけでも、ここに…いたいよ、彼を見ていたい。
私は、必死に父にお願いした。
引っ越し先から電車で通うから、1年の終業式まで、それまでは今の学校にいたいと……。
あまりの真剣な願いに、父は承諾してくれた。
詩織はまだ小学生だったので、嫌々、転校させられる事になり、私は、1年の終わりまで、電車で1時間の距離を通う事になった。