過去の秘箱
駅に着き、改札口を出る。
そこに中谷君!!!
熱に冒され、恋に冒され、幻まで見るようになった私は重症患者……。
幻に近づいて行くと、輪郭がはっきりとしてきた。
嘘? 中谷君? 中谷君なの?
それは…幻なんかではなかった。
自転車のハンドル握り、そこに彼が立っていた。
「よっ!」
「?………」
「下田、いつの間にか引っ越してたんだ。昨日さ、連れから聞いてビックリしたよ。後ろ…乗って行く?」
「いいの?」
彼が、乗ってと…目で合図した。