過去の秘箱
朝の光がキラキラ煌めいて、空気の澄みきった朝だった。
自転車の後ろに横乗りした私は、彼に触れる事が恥ずかしくて……持つ所がなくて不安定……熱のせいで体もフラフラ……今にも自転車から落ちそうだった。
「俺につかまれよ」
制服の腰の部分をそっとつかんだ私……。
この背中に…あの時おんぶされたんだ。
思いもしなかった展開に、戸惑うだけの、私がいた。
何が話さなくちゃ……そうだ…。
「昨日さ、お返しありがと……でも私だけ、皆と違っていたから……何でかなぁ~って…」
時間が少し空いてから…彼が言った。