過去の秘箱
平日の夜は、メールタイム……机に向かい勉強している振りしながら、私はずっと手にケータイを持っていた。
深夜遅く……ガチャ……父がノックもなしに勝手に入って来た。
私はもう全然驚かない。
だって、もうそろそろ来る頃だと思っていたから……。
素早くマナーモードに切り替え、教科書の下にケータイを隠した。
父が先にベッドに入り、私を待つ。
私は無言で、その隣に滑り込む。
下田正男に飼われたペット鯉は……もう既に……従順で素直な魚に調教されてしまった。