過去の秘箱
板前さんに、もう抵抗なんかしないよ……暴れると痛い思いするし…詩織にばれても困る。
今、食べて生きているのも、ケータイ代払ってくれているのもお父さんだから……もう私は逆らわない、いつでもどうぞ……。
でもね……一つだけ我が儘言わせてくれるなら……早く終わってほしいの……。
隠したケータイ…メールの返信が届いてると思うんだ…早くまた返信しなきゃいけないから……。
彼が待っているから……。
お父さ~ん、早く終わってよ~
私は父の背中に手を回し……喜びの表情を見せる…回した手にぐっと力を入れて……早く終わらせる方法を覚えた沙織……14歳。
教科書の下でケータイが……赤いランプで知らせているよ、恋する彼からのメールを………。