過去の秘箱
それは一瞬の出来事だった。
パキッ…それは絶望の音……ケータイは無惨にも真っ二つに折られた。
父は、その大きな手でケータイを……。
私を料理したその手で、たった一つの恋も…二つに切り離した板前さん……。
あぁぁぁぁぁ~~
発狂にも近い声を張り上げ、沙織は自分の部屋へ走った。
ベッドにドサッと倒れ込み、シーツ握りしめて泣いた。
涙の輪染みが……広がっていく。
その時、急いで誰かが階段を上がって来る!
詩織だった……心配顔で私を見ている。
二つに折られたケータイ握りしめて……。