ずっとずっと大好きな人

「『大地くん』『大地くん』『大地くん』……おまえは、いっつもそう。口を開けば『大地くん』……いい加減、雲の上ばっかり見てないで、目の前をちゃんと見ろよ」



俺が目の前に居るだろ?



「……意味不明……」

「『意味不明』じゃない」



俺は愛子が視線をそらしたり出来ないように、両肩に手を置いて顔を覗き込んだ。

すると、愛子がジーッと無言で俺を見ていた。



「なぁ、愛子」

そう言ってから気が付いた。

心の中では『愛子』って言ってたけど、多分、実際に名前で呼んだのは数年振り。



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