ずっとずっと大好きな人
「ちゃんと送るから、待ってろよ?」
日高に約束したからな、送るって……。
俺は掴んでいた愛子の手首を放した。
「わざわざ戻って来てまで、送ってくれなくていいよ。自転車だし、いつも1人で帰ってるんだから」
愛子はあっさりとそう言った。
このままじゃぁ、俺が戻る前に、愛子が帰りそう。
「ばーか! 暗くなる時間に帰って、万が一、おまえが痴漢にでもあったら、襲った痴漢が可愛そうだから送ってやんだよ! 気にすんじゃねーよ! じゃぁな……ぜってー待ってろよ?」
俺は愛子が返事をする前に、一気にそう言い、その場を走り去った。