ずっとずっと大好きな人

休み時間は何かと用事を作っては教室を出て、隣の愛子のクラス前を通るようになった。

『重症だ』と自覚したのは、授業中、『壁の向こうから愛子の声が聞こえないか?』と思った瞬間だった。



唯一、サッカーをしている時だけ、愛子の事は考えなかった。

だから、部活の時だけサッカーに集中していた。



だけど、ある時気が付いてしまった。

図書室の窓が開いている日が時々ある事に。

そして、その窓から愛子が校庭を見ている事に。



俺を見てるのか?

最近会えないから、俺の帰りを待っているのか?



最初はそう思っていたけど、結局、俺が部活が終わる前に愛子は帰宅していて、一度も一緒に帰る事はなかった。



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