ずっとずっと大好きな人

「おーい、剛!」



ドキッ

名前だけで反応するなんて……私、気にし過ぎでしょ!



1階の私達の教室には、直接校庭へ出られるガラス戸があるんだけど、そこから隣のクラスでサッカー部仲間の工藤くんがボールを持って叫んでいた。



「サッカーしようぜ!」

それだけ言い残すと、返事も聞かずに工藤くんは出て行った。



「ったく、あいつ……しょうがねーなぁ」



ドキッ

斜め後ろから、聞き慣れた声がして、心臓が鳴った。



気にしない、気にしない。



私は呪文のように心の中で唱えながら、イチゴを摘まんだ。

そして、それを口に入れようとした時。



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