キミを忘れない
ドアを開けると、眩しい
くらいの朝日が差し込む。
そして、その先に見える
のは大好きな人の顔。
「おはよ、舞。
今日は早かったな♪」
ニッと歯を見せて笑う
優介を見て、あたしも
自然と笑顔になる。
「おはよ、優介!
えへへ…今日はね。」
少し照れて笑うと、
優介が頭をわしゃわしゃ
と撫でた。
「ちょっ!あたしが毎朝
どんだけ苦労して髪セット
してるか知ってんの!?」
怒ってみせると、優介は
あははと笑って、んっと
伸びをすると、自分の
右手を差し出す。
あたしの定位置。
あたしの好きな場所。
それは、優介の右側。
あたしだけの場所。
たったこれだけのことで
あたしの機嫌はすぐに
直ってしまう。
「も~、しょうがないな。」
そんなことを言いながら
優介の差し出した右手を
きゅっと掴む。
そうすると優介は、あたし
の左手を掴む手の力を
強める。
そんなやり取りさえも
嬉しい。