ね、先生。
それから数日後だった。


私は塾が終わり、午後9時前に家に帰ると、


 ・・・がちゃ。

「ただいまー。・・・あれ?」


ドアを開けると、
部屋の明かりはなく、玄関に誰の靴も並んでいないのに気付く。


部屋に明かりをつけながら、自分の部屋へと進み、カバンを机の横に置いた。


リビングを通り、

キッチンへと行くと、

何も支度されていない様子から、誰も家に帰ってきていないことを確信する。


「・・・あれっ、、?」


そして、

私は、朝話してたお母さんとおネエの会話を思い出す。



 『沙織~。
  今日お母さん仕事どうしても残業しなきゃいけないんだけど、早く帰ってこれる?』

 『うん。何?晩御飯?』

 『うん、そうっ。
  晩御飯作るの、沙織にお願いしてもいいかしら?今日はさ、里美も塾だし。冷蔵庫の中のテキトーに使っていいから。』

 『うん。分かった。任せて!』




「・・・おかしいなぁー。」

私はそう呟いて、冷蔵庫の中を物色する。


その時、


 ・・・がちゃ。

「ただいまー。」


玄関の鍵が解除される音と、お母さんの声がした。
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