ね、先生。
 
「あれ・・?沙織は?」


キッチンで冷蔵庫を全開にしてる私に、お母さんがびっくりして聞いてきた。


「うーん。しらないけど、まだ帰ってきてないみたい。」

「えーっ。晩御飯用意してくれるって言ってたのに、、。
 里美お腹すいたでしょ?今から作るから、、」

「あぁ、いいよ。先にお風呂するからっ。」


おネエは、約束を破るような人じゃない。
何か理由があるのは分かったけど、今のお母さんと私に、その理由の予感は出来なかった。


「はぁー・・・。どうしたのかしら?」


お鍋に水を張り火にかけてから、お母さんは子機を手にとっておネエの携帯ナンバーをプッシュする。


「・・・出ないわ。」


時計の針は気付けば、もう9時半をまわろうとしていた。


私がクローゼットからパジャマを取り出し、お風呂場へと行こうとしてた時、


 ・・ピンポーンッ・・・


玄関のチャイムが鳴った―。
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