ね、先生。
更衣室でジャージに着替えて、ラケットを持ってテニスコートへと向かう。



「・・・遅いよ。」


しばらく話をしていなかった美加が、声を掛けてきてくれた・・・。


「ご、ごめんっ・・・。」


真鍋先輩とは相変わらず挨拶も交わさないけど、美加の誤解は少しずつ解けてるような気がした。



「先生、待ってるよ。
 先生さぁ、頑張って部活に参加してくれるのいいんだけど、かなり私達の練習の邪魔なんだけどっ。クスッ。」


美加が少し笑って話す。
私は苦笑いをしてから、テニスコートの方へと視線を移した。そして、はしゃいで練習してる先生を見つける。



「・・・プッ。」

「あの先生の相手できるの葵しかいないんだから、もっと早く着てよね!」


美加はそう言って、転がってるボールを拾い始めた。
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