ね、先生。
「・・・イヤァァー・・・。 先生~~ッ!!!!」
私は顔を下に叛けて、大きな声で叫んだつもりだったけど、実際にはあまり声に出てなかった。
恐怖の中で悲鳴をあげるって事がこんなにも難しいんだと、皮肉にもこんなかたちで実感する。
でも、
沢田くんにはよく伝わったようで、、、ゆっくりと私の腕は解放された。
それから、私は暗い竹やぶの中を走った。
沢田くんから逃げるように。
どれぐらい走ってからだろう?
・・・ドテッ。
私は鈍い音を立てて、転げた。
「・・・痛ッ、!!」
竹の根っこが飛び出しているのに気付かずに、私は足を引っ掛けてしまった。
そして、すぐに右足に熱を帯びてくるのが分かった。
私は転んだままの姿勢で、
真っ暗な闇の中で、
痛みと哀しみに近い恐怖心の中に包まれ、ただ泣く事しか出来なかった・・・。