ね、先生。
テニスの練習が出来ない私は、里美と一緒にテニスコートの木陰で練習を見学していた。


「・・・痛む?」

「う、うん。ちょっとね。」


ボールの行き来する風景を見ていると、


「でも、おかしいよね。」


里美が呟いた。


「・・・え?何が?」

「んー?葵が!」

「ど、どうして?!」

「いや、もっとさぁ、、、足が痛い~!けど、心の方がもっと痛い~ってな感じだと思ってたのよ。 沢田くんからだけどさぁ、話し聞いてたし。」

「・・・ハハ・・。」

「なのに、ちーっとも何だもん。」


プクーッと膨れた顔をした里美に、私はそっと耳打ちをした。


「ウソぉーーーーーー?!」


里美の声にテニス部のみんなが振り返った。


「あ、、スミマセン・・・。」


里美は謝った後、


「・・・マジで?!
 マジで?! マジでぇーー?!」

「うん。」

「・・・先生が?!」

「うん。」

「よかったじゃーんっ。」


私の手を握り締め、ブンブンと振って喜んでくれた。
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