ね、先生。
あれは、今年の1月だった・・・



「・・・え?」


私が体育でつきゆびをしてシップを保健室に取りにいった時の事。


「・・・ぷっ。
 思いっきり顔に書いてあるわよ、ハイって!」


シップを片付けながら、先生は続けた。


「だって、気づかないわけないでしょ~?
 桜井さんが運ばれてきた時の、あの渡部先生の表情!見たことないもん。 尋常じゃないというか。 すぐにピーンときたわ。」

「・・・。」

「桜井さんは気を失ってたから、どうなのか分からないけど、、、間違いなく先生の方は好きなんだなって。」

「・・・。」

「ぷっ。
 また目まん丸にして・・・。
 その様子じゃ、あなたもみたいね。
 好きなのは。

 で、気持ちは伝えたの?
 あれからもう随分経つけど?」

「・・・は、はいーっ…」

「あら、よかったじゃない~。」


神田先生に言われて、その時にふと思い出す。


「・・・せ、先生。
 あの時職員室に何か取りに行ってしばらく帰ってこなかったのって・・・?!」

「ハハハ。 
 気づいた?
 邪魔かな~って思ってね。
 あぁ、私はね、恋愛は自由だと思ってるのよ。 だから、誰にも言わないから。 頑張りなさい。」

「・・・ハィ!」



この日から、神田先生は私のお姉さん的存在になった―。
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