ね、先生。

部活が終わり、道具を片付けていると、田口先生の声が聞えてくる。


「渡部先生、ちょっとご相談したい事があるんです。　今度のお休みの日、お時間ないですか？」


ううん―。
聞えてくるんじゃなくて、田口先生は、わざと私に聞えるように話してる。


「え？　今度の休みですかっ？」


渡部先生は困った顔して答える。
―そう、今度の休みは私とデートの約束をしていたから。


「いや、、あの、、その日は予定が入ってて、、、。」

「ほんの少しでいいんですけど･･･ダメですか？　夜でも？」

「ぇ？　よ、夜ですかっ？！」


困ってる渡部先生へと視線を一度向けて、私はわざとみんなに聞えるような大きな声で沢田くんに声を掛け、立ち上がった。


「沢田くん、行こっ！
　里美待ってるよっ！！」

「･･あぁ！
　お、お疲れ様でしたー！！」