ね、先生。
日が暮れる前に、
私と先生は、一番最初に訪れた海岸へと戻った。


夕暮れの海は、昼間とは違う顔を見せる。

オレンジの空で、海は太陽に照らされ焼けるような輝きを放ち、遠く離れた海の上では、船が何艘か行き交わっていた。



「・・・。」


二人で並んで、夕日が沈む姿を見送る。


どちらからともなく、手を重ね、指を絡ます。


息をすることさえ

邪魔臭くなり、

ただ「今」という時間が止まってしまえばいいのにって、真剣に思ってしまう。





夕日が静かに沈みおわると、先生が先に動いた。


「さ、帰ろうか。遅くなるし…。」


重ねてた手を引こうとした先生の手を、

私は払い、


「…イヤ。 帰りたくない…。」


私はわがままを言った。
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